
褥瘡ケアのハーモニー
~みんなで磨いたアートを活かす~
チーム医療の必要性が叫ばれて久しいですが、褥瘡対策はチーム医療の先駆けと考えています。2002年の褥瘡対策未実施減算から20年余りが経過した今、不易流行の心得を大切にしたいのです。すなわち、変わらないこと(不易)を基本としつつ、変わりゆくもの(流行)を取り入れて、調和をめざしていきましょう。
このたび、第22回日本褥瘡学会関東甲信越地方会と2025年度日本褥瘡学会・在宅ケア推進協会(在宅協)関東甲信越地区床ずれセミナーを併催いたします。褥瘡ケアに取り組んでいる仲間がたくさんいて、そんな皆様の奏でるハーモニーが、患者さんや利用者さん、ご家族、すべてを心地良くしてくれるに違いありません。
褥瘡ゼロをめざすのは理想かもしれませんが、0という数値目標はなかなかハードルが高いと思いませんか?「みんなで創る!褥瘡で苦しむ人のない社会」こんな言葉目標はいかがでしょう。防ぐのが難しい褥瘡が存在するのは現実です。であれば、少しでも苦しむ人がないように、みんなで努力していきたいのです。
アートとは、ふつうは芸術と訳されますが、技術という意味も持っています。スキルアップをめざして磨き上げた皆さまのアートを、2日間のコラボレーションで共有しましょう。あんなワザ、こんなワザ、変わるもの、変わらぬものを見つけ出して、ぜひ明日に活かしてください。
【個人の能力×チームワーク×モチベーション=組織力】ANAの教えから引きました。この掛け算、左辺のどれかがゼロなら組織力は…ゼロ!最悪の場合は飛行機が落ちてしまうかもしれません。しかしうまくかみ合えば相乗効果で、その組織は偉大なる力を発揮します。チーム医療においても、示唆に富む素晴らしい数式だと思いませんか。
寒さに向かう季節ではありますが、昨年に引き続き現地集合といたしました。群馬にお越しの皆さま、顔を合わせてコミュニケーションを取りましょう。そして高崎の街歩き、魅力的な温泉、世界遺産の富岡製糸場、足を伸ばせば上毛三山、ぜひ上州の風に吹かれて、学んで遊んで楽しんでってください。たくさんのご参加、お待ちしております。

日本褥瘡学会・在宅ケア推進協会 2025年度 関東甲信越地区会長
岡田 克之
(桐生厚生総合病院 副院長/皮膚科診療部長)